投稿日:2024.01.09
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管理会計とは?メリットや財務会計との違いについて解説

企業が持続的に成長するには、営業活動、投資活動、財務活動において発生するお金の出入りを正確に記録し、事業活動を定量的に把握して正しい経営判断をする必要があります。そのために必要なのが、企業の経済活動を記録・管理して財政状態や経営成績の判断に活かす企業会計です。企業会計には「管理会計」と「財務会計」があり、それぞれ行う目的が異なります。

本記事では、企業経営を円滑に進める指針として活用される管理会計について、実施するメリットや財務会計との違いについて見ていきましょう。

1)管理会計とは社内向けにまとめる会計のこと

管理会計とは、意思決定や戦略立案に役立てるために必要な情報をまとめた会計情報のことです。

企業経営は、政治・経済といった世界的な潮流や国内の市場規模、トレンドなどによって常に変化するため、リアルタイムの財務情報を把握して的確に経営判断をしていかなければなりません。経営者は、管理会計によって把握できる過去の実績と未来の予測をもとに意思決定を行います。
管理会計は英語で「Management Accounting」であり、まさに経営をマネジメントするための会計といえるでしょう。

なお、管理会計は法律で定められたものではなく、自社の経営管理を目的として社内向けに行うものです。法律上定められたルールがあるわけではなく、あくまでも任意のため、全ての企業が行っているわけではありません。そのため、会計の対象となる期間やフォーマット、管理会計に必要な情報は組織によって異なります。

2)管理会計の主な構成要素

管理会計の内容は自由にカスタマイズできるため、企業によって構成要素が異なります。
主な構成要素は「予実管理」「原価管理」「経営分析」「資金繰り管理」の4つです。

【予実管理】予算と実績を比較し、管理する

予実管理とは、予算と実績を比較検討し、目標に対する進捗を把握したり、ボトルネックを改善したりするために行う活動のことです。
企業は、経営目標の達成に向けて年度の予算を組み、さらに、最終的な目標を達成するための短期・中期・長期の事業計画を立て、各期間に予算を割り振ります。一定期間ごとに立てた予算と実績を比較し、全体の進捗を管理することが大切です。

また、管理を行うことで、業績に対する評価や改善、コスト削減などができるようになり、企業経営の安定につながる他、社内に共通のゴールが設定でき士気の向上も望めます。

【原価管理】製品やサービスを提供するためにかかるコストを管理する

原価管理とは、製品やサービスを開発し、市場に流通するために必要な材料費や人件費、設備費といった原価を管理することです。「コストマネジメント」と呼ばれることもあります。

原価管理を行うと、売上に直接影響する経費の妥当性を客観的に判断でき、無駄なコストを見極められます。また、予算として掲げた目標の原価と実際の原価を比較することで、価格設定の見直しを図ることもできるでしょう。適切な原価と、現時点の原価との差異を分析してコントロールすることで、より多くの利益が得られるようになります。

【経営分析】経営状況を可視化できる情報を分析し、経営に活かす

経営分析とは、財務諸表や調査報告などから得られる情報を分析して企業の状況を把握し、経営に活かすことです。
経営分析では、経営状況を可視化できるこれらの情報を「収益性分析」「安全性分析」「生産性分析」「成長性分析」「損益分岐点」などの観点から分析することが重要とされています。客観性を持った分析により、資産や成長率などを把握でき、企業の課題解決や経営戦略に生かすことができるのです。

【資金繰り管理】収入と支出を管理し、過不足を調整する

商品やサービスの売れ行きが好調で、帳簿では利益が上がっている状態であっても、運転資金が不足していると、いわゆる「黒字倒産」になる可能性があります。企業の経営を正常に保ち、将来的な資金不足を防ぐために行うのが、資金繰り管理です。
企業の収入と支出を月ごとに把握できるよう「資金繰り管理表」を作成し、将来的な資金の予測を立てます。
もし資金繰り管理がうまくいかず、資金不足が予測される場合には、資産の売却や過剰在庫の削減、金融機関から融資を受けるなど、資金調達のための対策が必要です。

3)管理会計と財務会計の違い

管理会計も財務会計も、企業の経済活動をデータ化してその実態を明らかにするために行う点は共通しています。
両者の最大の違いは、管理会計が、自社の経営管理を行うための社内向けの会計であり、企業の任意で運用されるのに対し、財務会計は、ステークホルダーに財務状況を伝えるための社外向けの会計であり、会計基準に準拠した財務諸表を作成しなければならないことです。

管理会計と財務会計の違いをまとめると、下記のようになります。

財務会計が持つ2つの機能

財務会計には、大きく2つの機能があります。
一つは前述した、外部への情報提供を担う機能です。もう一つは、利害対立が起きた際に調整する機能です。企業は、経済活動によって得た利益を、社内だけでなく社外のステークホルダーにも分配します。

例えば、株主に配当金を分配するといったものです。分配の際、ステークホルダーが納得できるように調整する必要があります。財務会計によって作成した財務諸表をもとに会計報告を行うことで、利害の調整を図ることができるのです。

4)管理会計を行うメリット

管理会計は、法律で義務付けられているものではありません。それでも管理会計を行う企業が多いのは、さまざまなメリットがあるからです。ここでは、管理会計を行うメリットについて紹介します。

●的確な経営判断に活かせる

安定的に事業運営している企業や、継続的な成長を遂げている企業の多くは、管理会計の仕組みを導入しています。なぜなら、自社の状況に応じてカスタマイズした管理会計を行うことで、客観的かつ定量的に自社の経営状況を判断できるからです。
管理会計を導入し、予実管理や原価管理、資金繰り管理などを行うことで、より実態に即した情報を得ることができます。それにより、いずれ経営を圧迫しかねない業務プロセスや、不適切な経営資源の配分などに早期に気づき、速やかに適切な経営判断が可能です。

●事業や部門ごとの評価・改善がしやすくなる

管理会計を行う際、経営管理を踏まえて事業や部門ごとのセグメント分類を設定すると、現状をスムーズに把握できます。管理会計の情報を基に、利益が出ている事業や部門には積極的な投資やリソースの配分を、反対に採算が見込みにくい事業や部門は縮小や撤退などの経営判断が可能です。また、事業や部門ごとのセグメント分類を設定することは、各事業や部門の目標設定や評価にも役立ちます。

●コスト管理ができる

管理会計で事業や部門ごとにセグメントを設定することは、コスト管理がしやすくなる点もメリットです。各事業や部門の現状や成果から予算を設定し、さらにその進捗や達成具合を確認することで、製品やサービスの運用にかかったコストを把握できるでしょう。
製品やサービスの開発から提供までのどの部分でコストがかかっているのか、費用対効果はどうなっているかといったことを評価することにより、余計なコストを削減することにもつながります。

5)管理会計を行う際の注意点

ここまで、管理会計は取り組むメリットが大きいことを解説しました。一方、管理会計を安易に導入するのは注意が必要です。適切な導入・運用のためにも注意点を理解しておきましょう。

●管理会計は定期的かつ継続的に行う

管理会計は定期的に行う必要があります。導入して終わりではなく、定期的かつ継続的に運用をすることで、設定した目標の達成度を正確に把握できるのです。また、データを企業ごとにカスタマイズできるからこそ、効果と機能の検証は欠かせません。定期的に管理会計の状況を確認し、自社に合った機能を維持できているか、客観的に見直すことが大切です。

●管理会計システムの導入を検討する

管理会計は、導入することで経理担当者への負担が増加する点にも注意が必要です。納得感のない導入の場合現場から不満が出たり、士気が下がったりする可能性があります。データを収集し加工する作業が通常業務にプラスされることを鑑み、担当者とよく話し合ってから決定することが大切です。場合によっては、管理会計のための担当者を設定するなどして作業の分担・効率化を図りましょう。

また、人の手による作業の軽減を図り、ヒューマンエラーの発生を防ぐためには、管理会計システムの導入を検討するのがおすすめです。管理会計システムを導入することで、データの入力・収集・分析をよりスピーディーかつ確実に行うことができます。さらに、情報をリアルタイムで把握することも可能です。

6)管理会計システムの導入で、速やかな経営判断と適切な経営管理を

管理会計を行うことで、全体の業績や部門ごとの業績、そして会社の経営状況を客観的に判断し、有用な経営戦略を立てることができます。部門別、事業別、サービス別、製品別といったセグメントごとに情報を収集・分析すれば、財務諸表では把握できなかった問題をピックアップすることも可能です。

ただし、導入によって生じる現場の負担には配慮が求められます。現場への負担を軽減でき、リアルタイムでの情報把握や分析に役立つ管理会計システムの導入も視野に入れましょう。

アバントの管理会計システムについては下記をご参照ください。
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