経営管理とは?目的や種類、経営管理を効果的に行うポイントを解説
企業が成⾧し、目標を達成するためには、ヒト・モノ・カネといった経営資源を適切に管理することが重要です。
企業を取り巻く環境の変化が激しい現代において、経営管理の重要性はますます高まっています。経営管理を適切に行うことで企業の競争力が高まり、持続的な成⾧の実現に向かって進んでいくことができるでしょう。
本記事では、経営管理の目的や種類の他、経営管理を行う上でのポイントと、経営管理の高度化について解説します。
1)経営管理とは経営資源を適切に管理・調整すること
経営管理とは、企業の目標達成のために、経営資源を適切に管理・調整することです。
具体的には、ヒト・モノ・カネを管理して最適化を図り、各種業務や事業の調整、統括を行います。適切な管理のためにも、ヒト・モノ・カネ、それぞれの内容を確認しておきましょう。
ヒトの管理
従業員など事業に関わるヒトの存在は、企業運営に欠かせません。経営管理におけるヒトの管理には、人材の配置や育成、労働環境の整備など、従業員に関するさまざまな要素が含まれます。適切な人材を配置し、各人の能力を最大限に発揮させることで、企業の生産性や業績の向上につながります。
モノの管理
経営資源としてのモノには、製品やサービスはもちろん、それらを作り、提供するために必要な資産や物流に関わるものなども含まれます。生産設備や在庫管理の最適化、効率的な物流システムの構築などを適切に管理することで、生産・物流コストの削減や生産性向上が実現できます。
カネの管理
企業が成⾧するためには、売上や費用の管理、予算の策定の他、必要な設備投資を行うなど経営資金の管理が必要です。企業の経営状況を把握し、財務戦略を立て、資金の適切な運用を行うことが企業財務の安定や成⾧には重要です。
2)経営管理の目的
経営管理を行う主な目的は、経営資源を最大限に活用して成果を最大化することです。
企業の目標や事業計画を達成するためには、限りある経営資源を適切に管理しなければなりません。もし、事業計画どおりに進捗していない場合は、見直しと対策が必要です。
また、経営管理を行う目的は、経営管理を通じて経営目標やビジョンを共有し、従業員の意識を統一することで、モチベーションを維持・向上させるためでもあります。経営者の意思決定を組織全体に反映することで、同じ目標に向かって一丸となり行動することが可能です。
3)経営管理と経営企画の違い
経営管理と混同されやすい言葉として、「経営企画」があります。経営管理を正しく理解するためにも、経営企画との違いを知ることが大切です。
経営企画とは、企業の⾧期的な目標やビジョンについて戦略を立て、それを実行するための具体的な計画を策定することです。経営企画では、市場調査や競合分析などのデータを活用し、最適な戦略を導きだします。
一方の経営管理は、経営企画で策定された計画や戦略を実行するために、経営資源を適切に管理・調整し、業務調整や経営判断を行うものです。
経営企画と経営管理の連携が適切に行われることで、企業はより効果的に目的を達成し、持続的な成⾧を実現することができるでしょう。
4)経営管理が持つ機能
企業が目標を達成するために、適切な経営管理は欠かせません。企業の成⾧や生産性を高める上で経営管理に必要となる 4 つの項目を挙げています。
【経営管理が持つ 4 つの機能】
・マーケティング機能:顧客のニーズに基づく商品・サービスの開発に取り組み、売れる仕組みを作る機能。
・イノベーション機能:新しい商品やサービス、技術など、顧客に対して新たな価値となるものを生み出す機能。
・経営管理的機能:企業のビジョンの明確化、管理会計、KPI(重要業績評価指数)の設定など、企業の生産性を高めるための機能。
・利益の機能:業績管理や予算管理など、企業の利益を測定するための機能。
5)経営管理の種類
経営管理の対象は幅広く、領域によって主に「財務管理」「生産管理」「販売管理」「人事管理」「労務管理」の 5つに細分化されます。
これらは、それぞれの領域に適した部署で管理されるのが一般的です。
財務管理
財務管理とは、企業が健全な経営を継続できるよう、財務状況を管理することです。財務管理には、予算管理や資金調達、キャッシュフロー管理、財務分析などが含まれます。企業の資金不足を未然に防ぐとともに、収益性や経済的な安定性を確保するために重要な領域です。
生産管理
生産管理とは、製品やサービスの生産プロセスを管理することです。生産計画の策定や生産設備の効率化などが含まれ、製品の品質の安定や、納品までのスケジュールの最適化にも関わります。また、商品・サービスの需要と供給のバランスを保つのも、生産管理が担う役割です。生産管理によって、企業活動に欠かせない生産活動の効率化が図れます。
販売管理
販売管理とは、製品やサービスの販売活動を管理することです。主にモノとカネを管理し、顧客からの受注や生産状況、請求状況などが管理対象に含まれます。販売管理は、顧客との信頼関係を構築し、企業の売上拡大に貢献する領域といえるでしょう。
人事管理
人事管理は、従業員の採用や配置、評価などを管理することです。必要な人材の確保や配置・異動計画、評価制度の策定、従業員のモチベーション向上につながる施策などが含まれます。日本では少子高齢化によって労働人口の減少が予測されているため、人事管理が果たす役割は重要といえます。
労務管理
労務管理とは、従業員の労働環境を管理することです。人事管理と同様、経営資源のヒトに関わる領域ですが、労働基準法などに準じた従業員の勤務状態の管理や福利厚生の整備、給与支払い、労働組合との調整などが含まれます。従業員の労働環境を整えるとともに、企業のコンプライアンスにつながる領域です。
6)経営管理を行う上でのポイント
経営管理を効果的に行うためには、主に 3 つのポイントがあります。多様かつ膨大なデータを適切に扱い、経営に活用するためにも、ポイントを押さえて取り組みましょう。
適切な管理項目と KPI を設定する
経営管理を行う上では、適切な管理項目を設定することが重要です。ビジョンや事業戦略に応じて管理項目を決め、その項目ごとに適切な KPI を設定します。
KPI は、企業の目標達成度を数値で評価するための指標であり、経営の方向性を明確にするために欠かせません。例えば、売上高、利益率、生産性などが KPI として設定されることが一般的です。
ただし、KPI が高すぎたり低すぎたりすると、目標が達成できなかったり、従業員のパフォーマンスが低下したりしてしまいます。KPI を設定した後は、企業全体と部署で設定した KPI の整合性がとれているかを、定期的にチェックしましょう。
組織内のコミュニケーションの円滑化を図る
経営管理を効果的に行うためには、組織内のコミュニケーションの円滑化を図ることも大切です。
前述の管理項目や KPI を設定する上では、関連部門との連携やコミュニケーションが欠かせません。また、KPI の達成率や進捗状況を組織内で共有することで、組織全体が一丸となり、目標達成に向けて協力し合うことができます。
定期的に報告会を開く、月次で報告書を共有するなど、情報を共有するためのルールを定めるといいでしょう。
経営管理システムを活用する
経営管理を効果的に行うためには、経営にまつわる膨大なデータを管理・蓄積し、適切に加工することが求められます。経営管理の手法は企業によってさまざまですが、効果的に行うには、経営管理システムを活用するのが有効です。
企業によっては、独自に開発した経営管理システムや、領域ごとに特化したものを利用しているケースもあるでしょう。しかし、レガシーシステムやカスタマイズを繰り返したものを利用している場合、システムそのものがブラックボックス化してしまい、適切な管理や変更は困難です。システムによっては、新たな課題に対応できない設計が問題となる場合もあります。このような課題を解決し、経営全体の最適化を図るためには、領域や部門単体の管理から連結中心の管理へと移行し、企業全体で統合された経営管理システムを導入することが大切です。
適切な経営管理システムを活用することで、企業は経営管理に関わる多様なデータの収集・管理が可能になり、リアルタイムで事業の状況を可視化することができます。客観的なデータに基づく分析によって将来予測の精度が高まり、迅速な経営判断や競争力強化が期待できます。昨今、企業に対して DX 推進が求められていますが、経営管理においても、システムの活用や適切なデータの取り扱いといった DX 推進は欠かせません。
7)経営管理の高度化には EPM(CPM)が有効
現代は、先行きが不透明で、将来予測が困難な時代といわれています。このような環境下で企業が市場の変化を捉え、内部の問題に迅速に対応し、かつ発展し続けるためには、精度の高い経営情報をリアルタイムで把握し、経営状況を可視化することが不可欠です。そのため、経営管理の重要性は増しており、高度化が求められています。
高度な経営管理を実現するためには、DX 推進によってデータを管理・分析し、経営判断に活かしていくことが重要です。経営管理の高度化に有効なものとしては、EPM(Enterprise Performance Management)や CPM(Corporate Performance Management)があります。
EPM と CPM はほぼ同義語として用いられるもので、企業全体のパフォーマンス向上を目的に行う、経営管理手法やプロセスのこと。事業に関するデータや数値を収集し、リアルタイムで必要なレポートを提供できるため、最新の正確なデータに基づいた判断が可能になります。
なお、EPM(CPM)を導入する際には、ERP(Enterprise Resource Planning)との連携・併用がおすすめです。
ERP は、企業の基幹業務に必要な機能を網羅的に備えた IT 内ツールで、組織内のデータを一元管理することができます。ERP と EPM(CPM)を組み合わせることで、EPM(CPM)の導入がより速やかに行える他、より高精度なデータ分析が可能になります。これによって、経営層はスピーディーかつ的確な意思決定を行うことができるでしょう。
※EPM については下記をご参照ください。
EPM とは?導入のメリットや注意点、BI との違いを解説
8)適切な経営管理で企業のリソースを最大限活用し、競争力を高めよう
企業の持続的な成⾧と発展には、適切な経営管理が欠かせません。企業を取り巻く環境の変化に伴い、経営管理の重要性はさらに高まるでしょう。経営管理によって企業のリソースを最大限活用し、効率的かつ効果的に事業を遂行することで企業は競争力を高め、市場の変化に柔軟に対応することができるのです。
なお、経営管理に関わるデータは膨大であるため、一元管理とリアルタイム分析を可能にする経営管理システムの活用をおすすめします。アバントの「AVANT Cruise」は、企業のさまざまなデータを一元管理し、加工できる経営管理システムです。導入の際の構築にかかる工数を抑えられており、迅速な運用ができますので、効果的な経営管理のために導入をご検討ください。
・アバントの経営管理システムについては下記をご参照ください。
AVANT Cruise(アバントクルーズ)
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