投稿日:2024.12.26|最終更新日:2025.07.09
投稿日:2024.12.26
最終更新日:2025.07.09

更新

グループ経営管理

AVANT Cruise

ノウハウ

データドリブンとは?取り組むメリットや導入手順、ポイントを解説

売上や顧客など、ビジネス現場には日々膨大なデータが蓄積されています。データドリブンとは、こうしたデータを活用し、勘や経験ではなく客観的な数値を根拠に意思決定や行動を行うアプローチのことです。近年は「データドリブン経営」「データドリブンマーケティング」なども登場し、注目を集めています。
一方で、データドリブンは単にデータを集めるだけでは不十分で、目的の明確化や分析体制の整備、組織文化の見直しといった取り組みが不可欠です。

本記事では、データドリブンの意味や注目される背景、データドリブンに取り組むメリットに加えて、導入するための手順やポイントについて解説します。

データドリブンとは、データに基づいて判断・行動すること

データドリブンとは、ビジネスや組織の意思決定・戦略立案を、感覚や過去の経験ではなく、客観的なデータに基づいて行う手法のことです。売上データ、マーケティングデータ、ウェブ解析データなど、多様なデータを活用し、そこから得られる事実や傾向に基づいて行動するのが特徴です。

このドリブン(driven)という言葉は、「~によって駆動される」という意味を持ちます。つまり、データが行動や判断の推進力であることを示しています。データドリブンにおいては、数字や指標だけでなく、顧客のインサイトや市場の変化といった、意味のある情報を読み解くことが重要です。

経営判断の合理化を目指す、データドリブン経営の実践例も増えており、もはや一時的な流行ではなく、持続可能な成長のための戦略として注目を集めています。

※データドリブン経営については下記をご参照ください。
【ビジネスアナリティクスの専門家に聞く】データドリブン経営の重要性とは?

データドリブンと感覚的な意思決定の違いを示す図。経験や勘に頼る主観的な意思決定と、データに基づく客観的な意思決定(データドリブン)の対比を通じて、データ活用の重要性を説明している。

データドリブンが注目される背景とは

データドリブンは元々、マーケティング分野で使われていた用語です。しかし、近年では経営者や人事担当者など、さまざまな立場や分野から注目されるようになってきました。企業運営においてデータドリブンが注目を集める背景には、下記のような要因が挙げられます。

デジタル技術の進歩

データドリブンが注目される背景には、デジタル技術の進化があります。
AIやクラウド、データ解析ツールの普及により、企業は膨大なデータをリアルタイムで収集・分析できるようになりました。従来は活用が難しかった情報も可視化・活用できる環境が整い、勘や経験に頼らないデータドリブンな意思決定が現実のものとなっています。

顧客のニーズや消費行動の多様化

SNS、広告、テレビ、Web、口コミといった複数のチャネルを通じて顧客が情報に触れ、購買に至るまでのプロセスを示した図。購買行動の多様化やデータ活用の重要性を表している。

顧客行動の多様化も、データドリブンの重要性を高めています。
スマートフォンやSNSの普及で、顧客のニーズや購買行動はかつてないほど複雑になりました。こうした変化に対応するには、顧客データを活用して行動傾向を読み解く必要があります。

過去の経験や勘に頼った判断では、多様化・複雑化する顧客ニーズをつかみにくいことから、データドリブンの手法が積極的に導入されるようになりました。

意思決定の迅速化・高度化

ビジネス環境の変化に対応するため、迅速かつ高度な意思決定が求められており、その実現手段としてデータドリブンが注目されています。グローバル競争や市場の変化に対応するには、経験則ではなく、リアルタイムかつ信頼性の高いデータに基づいた判断が必要です。

データドリブンは、スピードと正確性の両立を可能にし、企業の競争力を支える基盤となっています。変化の激しい時代において、競争力の源泉となる判断の質とスピードを支える仕組みとして、データドリブンが急速に導入されているのです。

DXの推進

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進により、データドリブンが企業経営の中核として位置付けられるようになりました。
業務やサービスのデジタル化が進む中、あらゆるプロセスでデータが蓄積されています。そのデータを活用して経営判断や業務改善を行うデータドリブンのアプローチは、DXの本質と直結しており、企業変革を推進する原動力として注目を集めています。

※DX推進については下記をご参照ください。
【経産省に聞く】DX推進のポイントとは?課題や成功事例を解説

企業がデータドリブンに取り組むメリット

データドリブンに取り組むことで、企業にはさまざまなメリットが期待できます。主なメリットは下記のとおりです。

企業がデータドリブンに取り組むことによる4つのメリットを示した図。客観的な意思決定による業務の再現性向上、顧客特性に応じたマーケティング、生産性や収益性の向上とコスト最適化、新たな価値創出による新規事業への展開が挙げられている。

客観的な意思決定により業務の再現性が高まる

データドリブンは、属人化しがちな業務を客観的に可視化し、再現性を高める手段として注目されています。
勘や経験に依存した意思決定は、成功要因が不明確になり、担当者が変わると再現が難しくなることもあります。データドリブンを取り入れることで、誰が担当しても同様の成果が出せる業務運営が可能になり、ノウハウの蓄積や課題発見もスムーズになるでしょう。

顧客の特性に合わせたマーケティングができる

顧客一人ひとりの特性に応じたマーケティングが可能になることも、データドリブンのメリットです。
現代の消費者は行動も嗜好も多様で、一律の施策では効果が出にくくなっています。データドリブンを活用すれば、顧客の行動傾向やニーズを正確に把握し、タイミングや手法を最適化したパーソナライズドマーケティングが実現できます。
顧客ニーズをより深く理解し、商品やサービスに反映していくことで、競合他社との差別化も図れるでしょう。

生産性・収益性の向上と、コストの最適化を図れる

データドリブンは、企業の生産性や収益性を高め、無駄なコストを削減するのに有効です。
限られたリソースの中で成果を最大化するには、業務プロセスや資源配分の最適化が欠かせません。データドリブンでは、施策の効果を定量的に把握できるため、不要な業務や低パフォーマンスな施策を見直し、リソースを効果的な部分に集中させることが可能です。

新規事業など新たな価値の創造につながる

データドリブンは、潜在ニーズや市場変化を見逃さず、新たなビジネスチャンスの創出を後押しします。
蓄積されたデータを分析することで、これまで気づかなかった兆候や傾向が可視化されます。これにより、既存事業の改善はもちろん、新規事業のアイディア創出にもつながり、企業が柔軟に成長戦略を描くための基盤となるのです。
また、データドリブンの導入によって、市場の変化や経営リスクを早期に察知し、迅速に対応できる体制が整います。これにより、激しい環境変化の中でも、柔軟に舵を切ることができるでしょう。

データドリブンを実現するための手順

データドリブンの重要性は理解していても、具体的にどうやって取り組めばいいか分からないという企業は多いかもしれません。
ここからは、データドリブンを実現するための手順を解説していきます。

データドリブンを実現するための7つの手順を示した図。1.目的の明確化、2.データの収集・蓄積、3.データ・システムの整備、4.データの可視化、5.データの分析、6.意思決定の実行、7.効果検証と改善の流れで構成されている。

1. 目的・ゴールの明確化

まずは、データドリブンの出発点として、目的やゴールの明確化が欠かせません。
目的が曖昧なままでは、どのデータを収集・分析すべきかも判断できないでしょう。ビジネス課題を解決したいのか、新たな顧客層を開拓したいのか、成果のイメージを具体化することで必要なリソースや手段が明確になります。

2. データの収集・蓄積

データドリブンを実現するには、目的に沿った正確なデータを収集・蓄積することが前提です。
データが不十分・不正確では、いくら分析しても信頼できる結果は得られません。社内外から適切な情報を収集し、重複排除やクレンジングなどの品質管理を徹底しましょう。使えるデータの土台づくりが、成功のカギをにぎります。

3. データ・システムの整備

収集したデータを活かすには、全社で共有できる共通のシステム基盤が必要です。
部門ごとにバラバラなデータ環境では、全体最適な分析や意思決定が困難になります。データウェアハウス(DWH)などの導入によって一元管理を実現し、組織全体で整合性のとれたデータ活用ができる環境を整備しましょう。

4. データの可視化

分析結果を見える化することも、データドリブンな取り組みを実践する上で欠かせないステップです。グラフやダッシュボードを活用することで、現場や経営層が直感的に状況を理解でき、迅速な意思決定につながります。
数字だけでは伝わらない情報を視覚的に共有することで、組織内のデータリテラシーも向上するでしょう。

5. データの分析

可視化された情報を基に、データ分析を行います。データ分析は、施策立案の土台として極めて重要なプロセスです。
仮説を立てた後に、目的に応じた分析手法やツールで、傾向や因果関係を導き出すことが求められます。自社に分析できる人材がいない場合は、外部の専門家の活用も視野に入れましょう。

6. 意思決定・実行

分析結果を基に、施策を立案・実行します。分析結果を見て終わるだけでは意味がなく、実行に移してこそデータドリブンの価値が発揮されます。
データ活用を組織文化として根付かせるためには、経営層の関与や社内教育も併せて行うことが不可欠です。

7. 効果検証・改善

施策の成果をデータで検証し、改善を繰り返すことがデータドリブンの本質です。施策を実行した後は、必ず効果をデータで確認し、期待どおりの成果が得られたかを検証します。その結果を基にPDCAを回し続けることで、施策の精度は徐々に高まっていくでしょう。
データドリブンは一度やって終わりではなく、トライ&エラーを繰り返しながら、成果を高めていく姿勢が重要です。

データドリブンを実現するためのポイント

データドリブンを実現するためには、押さえておきたいポイントがあります。データドリブンに取り組む際には、下記のポイントに注意しましょう。

データドリブンを実現するための4つのポイントを示した図。1. 専門スキルを持つ人材の確保、2. ITツールやシステムの活用、3. データ活用を推進する組織文化の醸成、4. データを意思決定の手段として活用し、創造的思考を制限しない。以上4つの姿勢の重要性が挙げられている。

専門スキルを保有する人材を確保する

データドリブンの実現には、データ分析に加え、ビジネス理解にも長けた人材が必要です。
収集・分析・活用を一貫して担えるスキルは専門性が高く、すぐに確保するのは困難です。そのため、採用だけでなく社内育成や外部パートナーとの連携も視野に入れ、継続的な人材戦略を立てることが重要です。人材不足への備えは、早期に開始しましょう。

適切なITツールやシステムを活用する

データドリブンを効率良く進めるには、自社の目的に適したITツールやシステムの導入が不可欠です。
大量のデータを人手で処理するのは現実的ではなく、分析精度やスピードにも限界があります。ツールの選定を誤ると、誤った意思決定につながるおそれもあるので注意しましょう。目的や業務フローに合った仕組みの選定と、運用体制の整備が効果的なデータドリブンにつながります。

組織内でデータ活用の文化を醸成する

データドリブンは単なる仕組みではなく、文化として根付かせる必要があります。制度やツールが整っていても、現場の理解がなければ定着しません。
特に、経験や勘を重視する文化が根強い企業では、データに対する信頼感を築く工夫が求められます。成果の見える化や検証の仕組みを通じて、日常的な判断にデータを活かす習慣を根付かせましょう。加えて、全社的にデータ品質を維持し、情報セキュリティを確保する体制づくりも不可欠です。

こうした継続的な改善サイクルと組織的な管理体制を両立することで、データを「特別なもの」ではなく「日常の判断基準」として定着させることができるようになります。

データは意思決定の手段とし、創造的思考を制限しない

データドリブンを進める上で、直感や創造性を排除しすぎない姿勢も大切です。
データは重要な意思決定の根拠になりますが、全てを数値で説明しようとすると、柔軟な発想が妨げられる可能性もあります。特に、新規事業や企画開発においては、未知の可能性を探る創造的思考と、データ分析とのバランスが求められます。

企業がデータドリブンに取り組む上での注意点

データドリブンには多くのメリットがありますが、導入には一定のハードルや注意点も存在します。
ここでは、企業がデータドリブンに取り組む上での注意点をご紹介します。

データドリブンには専門知識が求められる

データドリブンを正しく活用するには、統計やIT、マーケティングなどの専門的知識が欠かせません。
スキルを持つ人材が社内にいない場合、分析精度が下がったり、期待した成果が得られなかったりするおそれがあります。人材の採用・育成や外部パートナーの活用を視野に入れ、戦略的な体制構築が重要です。

初期コストと体制整備の負担がある

データドリブンに取り組むには、システム導入や人材確保などの初期投資が避けられません。
データウェアハウスやBIツールなどのIT基盤を整えるには、一定の設備投資が必要です。さらに、分析スキルと業務理解を併せ持つ人材の育成・採用にもコストがかかります。短期的には負担に感じることもありますが、正しく活用できれば業務効率化や意思決定の質の向上につながり、中長期的にはコスト削減や収益向上に貢献します。

データ品質や管理体制の整備が求められる

データドリブンでは、正確なデータに基づく意思決定が行われるため、情報の精度や管理体制が重要です。
誤ったデータを用いると判断ミスのリスクが高まり、経営への影響も大きくなります。データの収集から管理、分析まで、一貫した品質管理やセキュリティ対策、チェック体制の構築が欠かせません。

データドリブンの実現には、ツールの活用が不可欠

データドリブンの実現には、ITツールやシステムの活用が不可欠といえます。ここでは、データドリブンを支援する主なツールを紹介します。

■ データドリブンの実現に役立つ主なツール

ツール名 主な用途 活用シーンの例
データウェアハウス データ蓄積・統合 全社データの統合管理、経営分析
DMP マーケティング用データ統合 ウェブ集客、ターゲティング広告
MA マーケティング業務の自動化 見込み顧客のナーチャリング
ウェブ解析ツール ウェブサイト分析 サイト改善、CVR向上
CRM 顧客情報の管理 カスタマーサポート、営業活動
CDP 顧客データの統合と活用 パーソナライズ施策、分析連携
EPM(CPM) 経営パフォーマンス管理 経営管理、シナリオ分析
BIツール データの可視化と分析支援 定例レポート、意思決定支援

データウェアハウス

データウェアハウスは、構造化されたデータを一元的に蓄積・管理するためのデータベースです。
異なるシステムや部門から収集された大量のデータが統合され、分析のために最適化されるため、意思決定を支援するツールとして広く使われています。

※データウェアハウスについては下記をご参照ください。
データレイクとは?メリットやデータウェアハウスとの違いを解説

DMP

DMP(データマネジメントプラットフォーム)は、収集したデータを統合してマーケティング施策に活用するためのプラットフォームです。
データウェアハウスと似た役割を持ちますが、DMPは主に、ウェブ集客や新規顧客獲得のために使用されます。

MA

MA(マーケティングオートメーション)は、マーケティングを自動化・効率化するツールです。
顧客に関するデータを分析して集客を効率化したり、見込み客に最適なアプローチを行ったりできます。

ウェブ解析ツール

ウェブ解析ツールは、ウェブサイトの訪問者の行動やパフォーマンスを測定・分析するためのツールです。
Google アナリティクスなどが代表的で、訪問者数や滞在時間、ページ遷移、コンバージョン率などを追跡します。自社サイトの改善点を明確にし、マーケティング施策の効果を高めるために役立つでしょう。

CRM

CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)は、顧客との関係を管理・強化するためのシステムです。
氏名や年齢、属性といった顧客の基本情報をはじめ、購買履歴、サポート履歴などを一元管理し、顧客とのコミュニケーションを最適化します。

CDP

CDP(カスタマーデータプラットフォーム)は、顧客データを統合・管理できるプラットフォームです。
顧客の行動データや購買履歴など、複数のシステムから収集した情報を一元的に管理し、パーソナライズされたマーケティングやカスタマーサービスの提供を支援します。

EPM(CPM)

EPM(エンタープライズパフォーマンスマネジメント)やCPM(コーポレートパフォーマンスマネジメント)は、企業全体のパフォーマンス向上に役立つ経営管理手法やITツールのことです。
組織内のデータ収集・分析を通じて業績をモニタリングし、課題の把握や将来の予測が可能になります。EPMやCPMは、迅速で的確な経営判断をサポートします。

※EPM(CPM)については下記をご参照ください。
EPMとは?導入のメリットや注意点、BIとの違いを解説

BIツール

BI(ビジネスインテリジェンス)ツールは、データを収集して可視化し、マーケティングや経営に役立てるためのツールです。
データの分析結果をダッシュボードやレポートとして提供し、意思決定者が状況を迅速に把握できるようにします。

データドリブンの実現で、企業の継続的な成長を目指そう

デジタル技術が発展し、多様なデータを容易に収集できるようになった現代において、データドリブンの重要性はますます高まっています。企業を取り巻く環境の変化や、複雑化する顧客ニーズに対応するためには、データに基づく意思決定が不可欠です。

データドリブンに取り組む際には、人材の確保やデータ活用の文化の醸成に加え、適切なツールの導入が必要になります。スムーズかつ効率的なデータの利活用を目指すなら、「AVANT Cruise」の導入の検討をおすすめします。

「AVANT Cruise」は、社内に点在したデータを明細単位で一つに集め、全てのステークホルダーにとって価値ある情報に加工し、利活用する経営管理システムです。
自社に合ったツールを活用しながら、データドリブンの取り組みを進めていきましょう。

※「AVANT Cruise」については下記をご参照ください。
AVANT Cruise

企業価値向上のためのグループ経営管理システム
AVANT Cruise

グループ経営管理において必要な財務・非財務情報を収集・統合し、多軸分析を行えるクラウドサービスです。1,200社超の支援実績から生み出された経営管理機能を持ち、データを収集する入力画面や、 90 種類の経営会議レポート・分析帳票などを標準搭載。設定のみで利用できます。

関連記事

メールマガジン

最新セミナーやダウンロード資料は、メルマガでお知らせしています