投稿日:2023.05.24
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AVANT Cruise

インタビュー

グループ経営管理を先進するパートナー 企業のDXを加速させる新生「アバント」が果たす使命とは

転載元:ITmedia ビジネスオンライン
ITmedia ビジネスオンライン 2023年05月16日掲載記事より転載
本記事はITmedia ビジネスオンラインより許諾を得て掲載しています

 1997年に連結会計ソフトウェアの先駆けとして創業した「ディーバ」は、2022年10月のグループ再編でコンサルティングサービス事業と「ジール」のCPM部門を統合し、商号を「アバント」へと変更した。祖業である連結会計から事業領域を広げ、「グループ経営管理」「連結会計」「事業管理」といった3つの事業領域を中心にビジネスを展開している。

 果たして、新生アバントが顧客へ提供する新たな事業価値とはどのようなものなのか。アバント 代表取締役社長 執行役員 CEO 岡部貴弘氏と、プロダクト企画部 シニアマネージャー 影山正樹氏に話を聞いた。

 旧ディーバ時代からの主力製品といえば、連結会計パッケージ「DivaSystem」シリーズだ。1997年に提供を開始し、これまでに1200社以上の企業が採用してきた。同社は導入から運用サポートまで一気通貫で対応し、多くの企業ニーズに対応している。

 岡部氏は「これまで多くのお客さまにご支持いただいてきましたが、近年、特にグローバル市場における情報開示の考え方が大きく変わり、連結会計の複雑化を実感するようになりました」と振り返る。

 「連結会計は財務の業績中心の開示が主体ですが、グローバルの投資家が見たいのは、瞬間の業績よりもサステナブルに収益をあげられるかどうかです。例えば、ESGと呼ばれるCO2の排出量を削減する計画や人的資本開示など非財務領域の情報も投資判断に大きな影響を与えます。このように、求められる情報が多岐にわたるようになりました」(岡部氏)

 また経営者は、マネジメント項目が増えていることに留意し、業績だけでなく非財務領域における計画の進捗を見ながら経営判断をする必要がある。そのためには、正しくタイムリーなデータが必要だ。岡部氏は「自社製品のみではお客さまのニーズに対応しきれないという歯がゆさを感じていた」と振り返る。

 「当社としても、自社製品であるDivaSystemだけではなく、お客さまにとって最適な製品を提案することが何よりも重要と考えています。当グループが持つ優れたソリューションと連携し、製品や得意領域の枠を超えた提案ができれば、お客さまの選択肢を広げ、グループのシナジーを高められると考えました」(岡部氏)

 旧ディーバ、ジールが展開してきたグループ経営管理、DX推進のノウハウを融合し、前述した「グループ経営管理」「連結会計」「事業管理」の3領域を統合。「アバントプロダクト」で、グループ経営管理プロセス全体をカバーする「経営情報プラットフォーム」の提供を目指す。

あらゆる変化に追随し、グループの“現在”を把握できる「AVANT Cruise」

 では、その3領域に対して、どのようなアプローチを進めていくのか。それぞれに対応するプロダクトを紹介したい。グループ経営管理、事業管理には、経営戦略・シナリオ策定に適した「AVANT Chart」、経営管理BIである「AVANT Compass」、連結原価・多軸収益管理システム「AVANT SMD」が対応する。いずれも旧ディーバ時代から提供しているもので、それぞれをリブランドした。なお、連結会計は従来通り連結会計・連結決算システム「DivaSystem LCA」でカバーしている。

 そして、グループ経営を支えるシステム基盤として2023年1月に発表したのが、新生アバントの戦略的商材と位置付ける財務・非財務統合管理基盤の「AVANT Cruise」だ。

グループ経営管理プロセス全体をカバーする(画像提供:アバント)

 AVANT Cruiseの特徴は大きく分けて3つある。

 1つ目は、財務、非財務情報を明細データから統合、収集管理して利用できる点。基幹システムなどに持つPSIの数量情報や人事情報、営業情報といった非財務情報も明細情報のまま統合して管理できる。また、DivaSystem LCAで保有している基本的な財務情報の連携を標準で整備しているため、開発不要ですぐに利用可能なところも魅力だ。

 2つ目は、蓄積した明細情報を、経営管理領域で利用する各種製品へ連携できる点。3つ目が、プログラミングの専門知識がなくても機能追加やカスタマイズができる直感的な操作性と柔軟性だ。プログラムを書かずにロジックを自由に組み込むことができ、情報システム部門に依頼せずとも利用部門自身でシステム設定の変更や運用が可能となる。

影山氏は 「AVANT Cruiseのコンセプトは、財務・非財務の統合管理基盤を提供することで、企業価値向上を支援することです。データを利用しやすい形へ整え、経営層の要求にタイムリーに対応します」と強みを説明する。「AVANT CruiseはAzureの最先端技術を組み込んだ現代の会計システムです」(影山氏)

 さらに、同社ではさまざまなEPMベンダーとのアライアンスを加速化し、幅広い他社製品との連携できるようにしている。「例えば『CCH Tagetik』『Board』などの経営管理ソフトや『オラクルのEPMクラウド』と連携し、明細レベルまで詳細な数値を把握できます。このようなアプローチによって、あらゆる企業における業績管理のニーズを満たせると考えています」(岡部氏)

アライアンスパートナーの拡充を促進し、選択肢の幅を広げている(画像提供:アバント)

 AVANT Cruiseが特に力を発揮するのが、海外など複数に拠点を持つ企業だ。規模拡大を目指して海外に進出したものの、その国の手法や制度、システムの壁に阻まれ各拠点のデータや情報が把握しづらいという課題を持つ企業は多い。

 「実はグループ全社で同じ会計システムを導入している企業は意外に少ない」と岡部氏は指摘する。そのため商品コードや科目コードが各社で違うほか、仮にシステムを統一していても、販売明細や原価明細まで統一できていない、集計粒度が違うといった課題もある。

 さらに、M&Aによってデータ収集先の基幹システムが変わることもあり、グループ経営を行う企業においてはこれらの変化に追随することは必要不可欠だ。変化に対応できないシステムを利用していた場合、手動でデータを収集せざるを得ず、グループ全体の実態はより分かりにくくなり、経営層が求めるデータも入手できないという状況になりかねない。そうなると次に起こる変化にも対応できず、コストばかりが発生する使わないシステムを抱え続けることになる……といった“負のスパイラル”に陥ってしまう。

「AVANT Cruiseであれば、あらゆる変化に追随し、ベンダーに頼らず自社の力で対応できる方法を提供できます。

 当社が持つノウハウや技術を結集したことで、お客さまは、グループ全体で高度な経営管理が可能となります。それが当社の特徴であり、提供できる価値だと考えています」(影山氏)

DX推進にも必要な全社共通データ基盤を生成

アバントは、AVANT Cruiseを中心とした製品群を武器に、次世代の経営管理プラットフォーム基盤のパートナーとしての地位向上を目指す。

 「旧ディーバでは、連結会計のソフトウェアベンダーという立ち位置でした。新生アバントでは、経営層が常に確認する経営ダッシュボードを提供する企業として、さまざまな支援を進めたいと考えています」(岡部氏)

 同社が視野に入れるのは、言わずと知れた“2030年問題”だ。少子高齢化に伴い労働人口が減少し、決算の早期化や効率化が求められるようになる一方、企業の開示業務がますます複雑化すると予想できる。ソリューションだけでなくコンサルティングやアドバイザリーとしても価値を提供することで、クライアントの業種・業態に合わせた解決策を用意し、多くの企業が直面する2030年問題に対応する考えだ。

 「グループ再編を経て当社の体制を強化したことで、子会社から四半期ごとの財務諸表や中期状況を集める自動化システムや、予算編成、予測、財務管理に特化したソフトウェア、企業パフォーマンスの管理ができるCPMの提案も可能になりました。

 また、これらにCO2排出量などの非財務情報をAVANT Cruiseを経由し連携することで、短期的な決算、業績情報と長期的なサステナビリティの双方を備えた経営情報を一元化し、企業価値の向上を支援します」(岡部氏)

 正しいデータの活用と、正確な報告が求められる現代。急務であるDX推進も、全社共通のデータ基盤がなければ始まらない。グループ経営のパートナーとなるアバントの存在価値は、ますます高まっていくだろう。

 「AVANT Cruiseの強みは、ファイナンス領域におけるデータの統合・変換機能によって、システムや運用の差異を吸収し、グループ全体で統一された会計システムを構築できる点にあります。これにより、グループ全体の財務報告や経営分析が円滑に進み、業績管理体制の強化に貢献できます」(岡部氏)

 グループ経営を取り入れるには、まずは足元を固めるところから。新生アバントは、グループ経営の良きパートナーになるはずだ。

転載元:ITmedia ビジネスオンライン
ITmedia ビジネスオンライン 2023年05月16日掲載記事より転載
本記事はITmedia ビジネスオンラインより許諾を得て掲載しています

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