データ作成を自動化し、本質的な経営判断業務へシフト。AVANT ChartでROIC経営の土台を築く、経営管理基盤の変革
相鉄ホールディングス株式会社
相鉄ホールディングス株式会社は、運輸、流通、不動産、ホテル、その他の5事業を中核とする持株会社です。鉄道事業では横浜周辺を起点とし、2019年11月にJR線、2023年3月には東急線との直通運転が開始されるなど、沿線価値の向上に向けた取り組みを続けています。
2025年に発表した最新の中期経営計画では、ROICを経営指標に定め、資本効率を意識した持続的成長への舵を切ることを宣言しました。一方、経営管理の実務では、収集した連結会計データを手作業で加工する状態が続いていました。複数パターンのシミュレーションの計算をExcelに頼っている状態からの脱却が急務となっていたのです。
そこで経営管理プラットフォーム「AVANT Chart」の導入を決定。2025年9月のキックオフから約3ヶ月で構築を完了し、2026年1月に本稼働を開始しています。プロジェクト推進の経緯や、現時点で得られている手応え、今後の展望についてお話をお聞きしました。
相鉄ホールディングス株式会社
経営戦略室 第一統括 担当課長 縫谷 祥広 様
経営戦略室 第一統括 担当係長 田中 裕文 様
※写真左から縫谷様 田中様
※所属・役職は取材当時のものです
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導入前の課題
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ROIC経営の要請に対し、データ基盤が不在のままで現場の負荷が高まっていた
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コロナ禍の影響、投資家の要請など経営管理に求められるスピードと精度が難化
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ROIC経営の前提となる経営管理レポートをExcelで作成しており、業務が属人化していた
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複数のシミュレーションを事前作成していたが、会議の場での新たな依頼に柔軟な対応ができなかった
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中計の策定過程でシミュレーションの課題が顕在化し、データ基盤の必要性を痛感していた
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導入効果
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AVANT Chartによって可視化が進み、経営対話の質とスピードが向上
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ROIC、BS、PL、キャッシュアロケーションなどが一元的に可視化され、計画・実績・将来予測を組み合わせた多角的な分析が可能に
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セグメント別に集計し直すなどの工程が不要になり、会議での議論のスピードが向上
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ロジックツリーで各指標とROICの相関関係を把握しやすくなり、経営の対話が深まった
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資料作成の工数を削減でき、分析・戦略立案など注力すべき業務に時間を充当できる土台が整備されつつある
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中期経営計画の策定で明らかになった現場負担
貴社の事業概要ならびにご担当の業務について教えてください。
縫谷様 相鉄グループは、運輸、流通、不動産、ホテル、その他の5事業から構成されており、持株会社である相鉄ホールディングスがグループ全体を統括しています。
私たち経営戦略室第一統括担当は、グループの経営企画と、グループ会社のモニタリングを担っています。モニタリングは、流通業、不動産分譲業、ホテル業を担当しており、各事業の業績や計画の進捗を継続的に把握し、グループ全体の経営判断につなげていくことがミッションです。
田中様 具体的には、中期経営計画の策定や、取締役会・常務会に向けた資料作成を担っています。第一統括担当では、グループ各社の数字を束ね、経営層が意思決定するための材料を整えるという役割を、部長を含め7名という比較的少人数で担ってきました。
ROIC経営に取り組む経緯や背景を教えていただけますか。
縫谷様 持株会社の経営戦略室は、グループ全体から見ればコストセンターですから、もともと小さな組織で運営してきました。運輸事業や不動産賃貸事業を中心に堅実な事業運営を続けてきましたが、近年は経営環境が大きく変わっています。コロナ禍を経て、当社のような公共交通機関を含むグループでも、外部環境の変化を直接的に受けるようになりました。
東証や投資家からの要請も強まり、上場企業として対応すべきことも増えてきています。最新の第7次中期経営計画(2025年度〜2027年度)では、こうした変化に向き合い、よりスピード感を高めた経営判断を行うために、事業別ROICを経営指標に据えることとなりました。従来の成長性や収益性といった指標に加え、資本効率の視点を取り入れ、投下資本の効率的な運用を図る狙いがあります。
経営管理を担う現場では、どのような課題がありましたか。
縫谷様 すでに会計システムは導入されていたのですが、そこから先の分析やシミュレーション作業はExcelで行われていました。個人のスキルでなんとか対応していたのが実情で、このままでは特定の担当者に業務が紐づいたままとなってしまいます。ROIC経営を掲げた中計の影響もあり、経営サイドから提出を求められる情報の質も変化してきました。その対応が負担の増加につながっていたのは否めません。数年前なら、概況だけ報告すれば認められていたものが、求められる内容がより複雑で高度なものへと変化していました。前年比、計画比、将来予測などと算出すべき項目が多岐にわたるだけでなく、ベースシナリオ、ダウンサイド、アップサイドと複数パターンのシミュレーションの用意を求められるのが当たり前の水準になっていました。
田中様 この時点で私たち2名がExcelで対応し続けるには限界があると感じていました。さらにROICの浸透という点でも、当社グループはこれまでP/Lを中心に見てきたので、B/Sを踏まえたROICそのものが、現場にとってなじみの少ないものでした。モニタリングを担う現場としても、ROICに関わる業務が加わることへの戸惑いはあったかと思います。
縫谷様 2025年4月の中計開示に向け、ROICの試算や将来シナリオを組むプロセスで「今のやり方では、毎期のローリングは難しい」と認識が強まったのは確かです。
提案の精度とシミュレーションのスピードが決め手に
当初は内製での解決を検討されたとお聞きしました。
縫谷様 現在の会計システムから出力したデータを使って、必要なレポートが作れないかという発想のもと、まずはグループ内のシステム部門に相談しました。ただ、会計システムは、過去の実績を整理するのは得意でも、自由自在にパラメータを変えて、複数のシミュレーションを行うには適していません。現時点で最適化したものを開発しても、数年後のニーズに対応するのが困難なのは明白だったため、専門のシステムを導入したほうが中長期的には合理的だと判断し、外部のシステムを導入する方向へ舵を切ったのです。
もとからアバントさんの名前は、さまざまなセミナーを主催していたことから、認識していました。グループ内のDX担当部長から情報をもらい、複数の候補と比較した上で、最終的にAVANT Chartを選ぶに至りました。
選定にあたっての決め手は何だったのでしょうか。
縫谷様 初回の提案で、我々の現状の課題感を非常に正確に分析していただいたことが大きかったです。解決のために必要な機能も先回りし、整理していただいたので、プレゼンをお聞きしている途中から「これが最適」と確信したほどでした。
田中様 最もすばらしいと感じたのはシミュレーション機能ですね。経営会議や取締役会の場で、自由に数字を動かしながら議論できるのは、我々にとって非常に大きい価値がありました。以前は、準備していたパターン以外のシミュレーションを求められると、作り直しを約束することしかできませんでした。すぐに答えが出せない状態は、経営層と私たちの双方にとって、もどかしさが残るものです。これを使えば、会議の質が変わるのではないかと考えました。
早期の導入にも非常にこだわられました。
田中様 導入のスピード感も、重要なポイントでした。この時点ですでに新たな中計は動き始めているので、仮に、開発期間が1年、1年半もかかってしまうと、中計期間の半分が過ぎてしまいます。その点、AVANT Chartは、2025年9月のキックオフから年内には構築が完了できるとスケジュールを提示していただきました。
縫谷様 ご提示いただいたスピード感で導入できると判断できたのは、アバントさんが当業界の特性を深く理解されていたからです。当社の連結会計システムとAVANT Chartの連携実績も豊富で、業界特有のセグメント構造もよく理解されていました。こうした知識や経験は、導入時の確度の高さとスピード面に直結したはずです。
小さな組織で運営してきた経営管理に対する投資はどのように認められましたか。
縫谷様 投資判断にあたっては当然、費用対効果を問われます。ただ今回は、現中計で掲げたROIC経営の実装を支えるツールという位置付けが明確でした。そのため、基盤整備の必要性という根拠に対し経営層の理解も得やすかったのだと感じています。
昨今は、経営層がシミュレーション機能を重視しているため、現場の工数削減よりも、経営会議の場で即座に意思決定材料を提示できるという質向上の価値を訴求しました。
3ヶ月での稼働を支えたアバントの姿勢と週次伴走
3ヶ月での短期構築、振り返ってみていかがですか。
縫谷様 本当にスケジュール通り進むのか、不安がなかったわけではありません。ただ、打ち合わせを重ねるうちに、経営管理でよく使われる分析やレポートの型があらかじめ製品に組み込まれているのだと理解できました。アバントさんも、ゼロから作り込むのではなく、その型に当社のデータを当てはめ、足りないデータや変更の必要がある部分だけを個別にカスタマイズされていたのではないかと思います。だからこそ、こうしたスピードで実行できるのですね。
田中様 以前の業務で、連結会計システムに触れていた経験がありましたので、アバントさんからデータ提出の依頼を受けた際にも、勘所がつかめたのは大きかったです。経理部門と現場の間に立って、意思疎通の橋渡しがしやすかったのは幸いでした。
縫谷様 当社グループは事業ごとにはっきりと会社が分かれているので、単一の会社内に複数事業のBSが混在しているケースはほぼありません。こうしたデータの明快さもスムーズに進められた要因の一つとしてあげられるかもしれません。
構築段階で印象に残っているのはどのようなことでしょうか。
田中様 週次の定例ミーティングを通じた、レポートの磨き込みについてです。当初の段階から、枠組みとしては十分でしたが、当社で普段見ている階層や指標の表現に合わせるための調整が必要でした。アバントさんへ「ここをこう直してほしい」とお伝えしたときに、こちらの意図を正確に汲み取って、想定したとおりの内容を返していただけるのはありがたかったです。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、決してすべてのベンダーが対応できることではないと思います。経営管理領域の知見をお持ちのコンサルタントの存在が、こちらの認識とアウトプットを揃える上で大きな力となりました。
縫谷様 また、専門的な知見に加えて、熱意を持って取り組んでくれているのも頼もしさを感じていました。こちらが要望を出すだけでなく、よりよい方法を提案してくださり、議論できる関係性にプロフェッショナルを感じます。当初はROICを中心に組み立てていましたが、進めていく中で「過年度実績と当年度の計画、その先の中計計画を組み合わせて推移を見たい」「第1四半期の予想、第2四半期の予想、第3四半期の予想と組み合わせたい」といった要望が次々と出てきました。そうした変更希望にも、すぐに反映していただけるのは心強かったです。
田中様 キャッシュアロケーションの可視化までスコープを広げたのも典型的な例ですね。一度作って終わりではなく、使いながら育てていけるという感覚を強く持っています。
立ち上がった基盤を、価値創造の起点に変えていく
本稼働を経て、どのような手応えを感じていますか。
縫谷様 希望したスケジュールで立ち上げられたことも、まずは大きな成果です。これまで膨大な手間をかけていた数字の算出作業は、業務によって差はあるものの体感で3割ほど短縮できたと感じています。
田中様 まず大きいのは、資料作成など会議のための準備時間が大幅に減ったことです。また、これまで経営層からの「宿題」を持ち帰らざるを得ないことが多かったのに対して、その場で議論しながら数字を動かせるため、対話を深められますし、そのスピードも速くなると期待しています。その結果として、会議でのコミュニケーションの質は間違いなく変わるでしょう。
縫谷様 経営戦略室での運用は始まっていますが、事業会社のモニタリング担当への展開はこれからです。新たな期に入ったタイミングで、説明会を開きながら運用範囲を広げていきます。並行して、階層別にROICへの理解を深める社内教育も進めています。
今後に向けてどのような展望をお持ちですか。
縫谷様 直近では、第7次中計の最終年度である2027年度に向けた様々なシミュレーションでの活用が中心となりますが、間もなく次期中計の準備も始まります。複数のシナリオを比較しながら戦略を組み立てることで、より高精度な計画を作りたいと思います。
田中様 中計や取締役会の資料で、AVANT Chartで描いた数表やチャートがそのまま使える状態にしたいと思います。Excelで毎回作り直していたものを、システムから直接資料化できるようになるだけで現場の負荷は大きく変わります。
レポート作成の業務が短縮される分、出てきた数字を分析し、その後に何をすべきかを考えるというより本質的な業務に時間をかけられるようになりたいと思います。
縫谷様 グループの各事業会社は、それぞれ専業である他社と日々競争しています。グループ傘下だから2番手、3番手でも構わないという発想ではなく、各事業領域で力を蓄え、勝負していかなければなりません。そのために事業ポートフォリオを冷静に見つめ、投資効率を十分に検討した上で、経営資源を配分する必要があります。
横浜駅西口の再開発計画といった大規模、かつ長期にわたる投資も控えている中、未来の挑戦に向けて、グループ全体の足腰を鍛えていくことが不可欠です。データに基づいて経営判断ができる基盤を整え、新たな価値を創造できるようにしていきたいと考えています。AVANT Chartは、その変革を支えるパートナーです。
※取材年月 2026年5月
※文中に記載されている情報は、いずれも取材時点のものです
相鉄ホールディングス株式会社
設立:1917年12月18日
本社所在地:神奈川県横浜市西区北幸2-9-14
事業内容:運輸、流通、不動産、ホテルを中核とする持株会社
URL:https://www.sotetsu.co.jp/
※2026年5月 取材当時の情報です
財務諸表やROICなどの将来予測・シミュレーション、戦略策定やシナリオプランニングに活用できる経営管理プラットフォームです。作成した複数のシナリオを比較・分析することも可能です。
