2022.11.08

連結会計

IFRS対応

DivaSystem LCA

IFRS第16号「リース」対応作業の自動化・業務効率化 ~DivaSystem LCAの拡張で実現した業務負荷削減と精度向上~

ナブテスコ株式会社

ナブテスコ株式会社は独創的なモーションコントロール技術で、生産現場の自動化や陸海空の安全・安心・快適な移動を支える機械コンポーネントメーカーで産業用ロボット向け精密減速機や、輸送用機器、自動ドアなど各分野で高いシェアを有し、ナブテスコグループとしては国内外に60拠点以上を展開しているグローバル企業です。

ナブテスコ株式会社では、2019年に適用開始となったIFRS第16号リース対応に、新たなシステムの導入を検討されていましたが、従来よりご利用いただいていたDivaSystem LCA(連結会計システム)の拡張により業務効率化を実現されました。その経緯や導入の効果について、経理部参事の孫景偉様、達勇太様、乾広和様のお三方にお話をうかがいました。

写真左:乾様、中央:孫様、右:達様

  • 導入前の課題

    • IFRS第16号対応に必要なリース情報収集を内製のExcelフォーマットで運用するものの、膨大な業務負荷が発生

    • ・毎期のExcelフォーマット更新・配布作業

    • 各社ごとにマスタ情報等を更新する必要があり、毎期グループ会社数分のファイルを作成、管理する必要があった。経理部から毎期Excelフォーマットを更新し個別に全グループ会社へメールで配布していた。

    • ・連結会計システムへのデータ転記作業

    • グループ会社にて手作業でデータをDivaSystem LCAに転記していた。時間を要すると同時に転記ミスが発生する場合もあった。

    • ・提出データの整合性チェック・不備修正作業

    • 経理部にてExcelフォーマットで収集したデータと入力データの整合性を確認し、不備のある場合は個別に差戻し修正を依頼していた。

  • 導入効果

    • リース情報収集用のExcelフォーマットをDivaSystem LCAに取り込み、運用することより業務負荷が大幅に削減し、精度も向上

    • ・Excelフォーマット更新の工数削減・配布作業が不要に

    • マスタ情報はDivaSystem LCAから自動で取得されるため、会社ごとのExcelフォーマットの更新は不要に。Excelフォーマットを更新する場合も、マスタファイルのみの更新で各対象ファイルへ自動反映されるようになりExcelフォーマットの更新工数を削減。

    • ・提出データの整合性チェック・不備修正完了までの工数を大幅に削減

    • グループ会社のデータ保存時に整合性チェックを自動で実施。整合性の担保されたデータのみが提出されるようになり、入力データの不備チェックの確認工数を削減。

    • ・データ転記作業が不要に

    • 個別財務諸表、増減明細等の関連明細に、自動的に必要なリース情報のデータが自動反映されるようになり、転記作業は一切不要に。

自社構築のExcelフォーマットで対応も非効率が顕著に

―御社のIFRS第16号対応業務効率化プロジェクトは、2020年4月にキックオフしました。まずはこのプロジェクトに取り組まれた経緯を教えてください。

孫様 2019年からスタートしたIFRS第16号は当社の決算業務に大きな影響を与えるものであり、効率化を図る必要がありました。そこで当社ではIFRS第16号適用の前年から対策を検討し始め、IFRS第16号向けパッケージを提供している会社のセミナーなどに参加し調査しました。

しかし、当然ながらまだ始まっていない制度に適切に対応できる会社は見つかりませんでした。そのため、最初の1年は自社内で組んだExcelフォーマットを使って対応することになり、非常に手間がかかりました。グループ会社も増えてきており、何とかリース基準対応作業を効率化しないといけないと痛感していました。

達様 IFRS16号は全グループ会社に影響があり、グループ会社へExcelフォーマットを配布するだけでも相当の作業量となっていました。加えて、決算期に合わせてマスタ情報や気が付いた改善点を更新したり、説明やマニュアルを日本語・英語で追加したりと、手作業に非常に多くの時間がかかりました。例えば、数式に一つ修正が入っただけでもグループ会社向けのフォーマットは全て修正しないといけないため、本当に大変でした。

―作業の元になるリース情報収集用のExcelフォーマットの作り込みにもかなり時間がかかったのではないかと思いますが、どなたが作られたのでしょうか。

達様 私がメインで作りました。IFRSでの計算方法に加えて、連結決算に必要な情報を経理部内で確認し、動作検証をしながら見直しを行い、完成まで3ヵ月ほどかかりました。

―Excelファイルの容量もかなり大きなものになったのではないでしょうか。

達様 大きいもので1つ3MB以上あるファイルを、基準の概要やExcelフォーマットの入力マニュアル等と一緒にメールで送付していたので、今思えば受け取るグループ会社の方にも迷惑な話だったと思います。

孫様 複雑なうえに、Excelフォーマットでは計算ミスが起こりやすいのも問題でした。転記する際に行がずれることもありましたし、理解不足やタイプミス等が原因で誤った情報が入力されていることもありました。Excelフォーマットでの管理でそうしたミスの影響を痛感したことが、本格的な導入へ検討を進めた大きなきっかけとなりました。

―作業には具体的にどのぐらいの時間がかかっていたのでしょうか。

孫様 当時は国内、北米、欧州、中国、東南アジアのエリアごとに担当を分けて数字のチェックをかけていましたが、チェックだけで1人あたり10数時間はかかっていたと思います。

達様 経理部外では、グループ会社でのExcelフォーマットからDivaSystem LCAへの転記作業などもありましたので、相当な時間を費やしていたと思います。効率化、決算データの精緻化などを考えればシステム化は必須でした。

想定以上の自動化、期待以上の効率化が実現

―アバントを選んでいただいた理由はどこにありましたか?

達様 当社では以前からDivaSystem EIGS(連結会計システムDivaSystem LCAの収集モジュール)を利用しており、グループ各社でアバントのシステムを用いて決算情報を集めています。そのように全てのグループ会社にまたがったシステムが、当社ではアバントしかなかったこと。それがまず大きな要因でした。準備段階でリース専用のシステムを導入することも検討したのですが、英語を含めた各国対応をしているシステムは少なく、専用のシステムを入れたとしても、結局はグループ会社でDivaSystem LCAを起動し、リースの数値を転記して、という作業が発生することになるため、システムを一つにまとめる方が、メリットが大きいという結論に至りました。

―導入によって当初期待されていたことはどんなことでしたか?

孫様 効率化や作業時間の短縮はもちろんですが、加えて想定したメリットとして、リース情報を収集し、個別財務諸表に連携するところまで自動化できればと考えました。
残りの増減明細情報などは手で入力して補正しようと考えていたのですが、実際に構築していただいたシステムでは想定を超えて自動化され、期待以上のシステムを作っていただけました。非常に助かっています。

達様 例えば、リースの明細を四半期ごとに引き継ぐ機能は、第一四半期決算で入れたデータを第二四半期のリースの明細にコピーできます。年次決算から翌年度へも引き継がれるため、更新作業が減り大変助かりました。想定以上の効果が得られています。

四半期ごとのチェック時間が8分の1に短縮

―開発導入段階でのアバントの対応について印象に残っていることなどはありますか?

孫様 とにかく、こちらからの時間的にタイトなお願いにも迅速かつ柔軟に対応していただけたことがありがたかったです。

乾様 しかもコロナ禍でのプロジェクトのスタートだったので、対面での作業がほぼない中、ここまでのものを作ってくださったことは驚きでした。

達様 こちらがまったく知らないExcelの機能を応用してチェック機能を付加するなど、できるだけシステムが大がかりにならないようにご配慮いただいたのも非常に助かりました。

―導入による具体的な効果をどのように感じていますか?

孫様 先ほどお話しした通り、経理部としては効率化と数値の精度の向上という目標がありましたが、その2つは確実に実現できていますし、決算での作業時間はかなり減ったと思います。以前の決算業務では当然だった残業時間も削減できています。

達様 以前は四半期決算の繁忙期で40時間は使っていましたが、今はほぼチェックだけの作業になり、約5時間まで削減できました。またグループ会社からの反応としては、リースの明細を更新して保存ボタンを押すだけで、関連するB/S、P/L、増減情報などへリースの情報が転記され、非常に助かるという声も届いています。

乾様 通常は、新機能の導入時は入力方法などでいろいろな問題が生じることが多いと思います。しかし今回の導入時において、グループ会社に対して1度説明した後は、以降の決算でもほぼ間違いなく入力されており、全く問題なく活用できています。

―そもそも以前から使っているアバントのシステムがあったということも、スムーズにご活用いただけている要因といえるでしょうか。

達様 それももちろんあります。基本的な操作はExcelに近いため、使いやすいというのもあると思います。

今後はキャッシュフロー作成の効率化が目標

―今後の御社の展望や取り組み、またその中でアバントに求めることを教えてください。

孫様 アバントさんのおかげでかなり連結作業が効率化されてきています。現状の決算業務で最も効率化したいのは連結キャッシュフローの作成です。社内で、また私自身も、少しマスタを増やしてみたり、収集情報を増やしたりするなど、いろいろ試してみてはいますが、システム改善を含め何か効率化が必要な際には、ぜひこれからも力を貸してもらえればと思っています。

達様 システムとはまた違う話ですが、各国のリース基準がだんだんリースをオンバランスする方向に変化してきています。しかし、その方法が国によって微妙にIFRSと違ったりして、どうやって効率的に対応していくか、現在検討しているところです。そうしたことにも継続的にアイディアをもらえたらうれしいです。

担当コンサルタントからのコメント

ナブテスコ様には、2003年より20年弱の長きにわたりDivaSystem LCAを継続してご利用いただいております。
導入以後も都度、追加モジュールの導入や新たな業務領域での活用、既存業務の更なる効率化等、積極的にご活用範囲を拡張いただき、現在では海外を含む全グループ会社にて利用されている唯一のシステム基盤として活用されています。
今後ともアバントの持つ豊富なお客様事例をベースに、柔軟にニーズに合わせたご活用方法をご提案・ご支援させていただきたく考えております。

※取材年月 2022年7月
※文中に記載されている数値や製品名などの情報は、いずれも取材時点のものです。
※新型コロナウイルス感染防止対策を行ったうえでインタビューをしております。

会社名:ナブテスコ株式会社
設立:2003年9月29日
本所所在地:〒 102-0093 東京都千代田区平河町2丁目7番9号 JA共済ビル
事業内容:コンポーネントソリューション事業、トランスポートソリューション事業、アクセシビリティ
ソリューション事業、その他

従業員:7,844名(連結、2021年12月末)
グループ会社数:連結子会社数 国内:14社 (他持分法適用会社3社) (2021年12月末)
海外:51社 (他持分法適用会社5社) (2021年12月末)

資本金:100億円
URL:https://www.nabtesco.com/
※2022年7月 取材当時の情報です


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