2023.09.29

連結会計

開示・連結決算

DivaSystem LCA

決算業務早期化の新たな一歩 ~DivaSystem LCAの活用と独自の工数管理の秘訣~

キヤノンメディカルシステムズ株式会社

キヤノンの100%子会社として、医療機器の開発、製造、販売、サービスを手掛けるキヤノンメディカルシステムズ株式会社。同社では2016年から、DivaSystem LCAをご活用いただいています。また2018年からはオンラインデータ収集モジュールも導入。連結決算業務における大幅な工数削減を実現しています。

一方、その工数削減の陰には、システムの利用のみならず、組織内における徹底したタスク管理の仕組みづくりがあったようです。
その秘密を、連結経理担当の皆様に語っていただきました。


キヤノンメディカルシステムズ株式会社
経理センター 連結経理担当 グループ長 松本和人様
同 主幹 中田匡彦様
同 グループ長代理 新田継一様
同 主任 山城貴浩様
同 主任 脇本真巳子様
同 中山梨江様
写真左から:脇本様、中田様、松本様、中山様、山城様、新田様
所属・役職は取材当時のものです

  • 導入前の課題

    • 連結会計のノウハウ不足とExcelによる作業

    • 親会社が変わるなどの影響で新しい仕組みやタスクが発生していた。また、当時は連結会計のノウハウが不足していたうえに、Excelによる連結会計業務を行っていた為、残業や土日出勤が増えていた。

  • 導入効果

    • 決算月の作業日数を短縮・効率化

    • DivaSystem LCAの活用と独自の工数管理体制により、親会社が定めた決算業務の標準日程を安定的に遵守できる仕組みを構築。第5営業日中の決算業務完了を実現。

親会社の変更や子会社の増加で決算業務が激務に

――連結経理担当のミッションを教えてください。

脇本様 私たち連結経理担当は、孫会社も含め50社以上あるグループ会社の連結決算業務を米国会計基準に準じて行っています。そうしてまとめた連結決算を親会社であるキヤノンの経理本部に報告することが全体的なミッションです。

――連結会計業務において、以前はどのような課題を抱えていましたか?

松本様 2018年の途中までは、子会社から届いたExcelのデータを我々がDivaSystem LCAに入力する工程を経ていました。その背景には、子会社に経理が一人しかいないために手が回らない、当時は子会社にDivaSystem LCAが導入されていなかったということもあり、こちらが作業をせざるを得ない状況にありました。
しかし、近年親会社のキヤノンがメディカル事業に積極的に投資をし、買収などによって子会社が増える中、我々の時間的な負担も年々大きくなってきていました。また、子会社の数字をこちらで入力・調整すること自体、内部統制上リスクがあるという意見もあり、できる限り子会社での入力を我々が指示してきました。
結果、新規で連結運営を開始した会社を除けば、現在はこちらで入力することなく、ほぼ各子会社で入力できる状況となっています。その変化に効果を発揮したのがDivaSystem LCAおよびオンラインデータ収集モジュールです。

脇本様 親会社からは、決算業務に要する「標準日程」が、月次報告では第4営業日まで、四半期報告の場合は第5営業日までと定められています。以前はその日数で報告を上げるのはかなり厳しい状況でしたが、現在は四半期報告でも第4営業日にはほぼ仕訳が終わっており、第5営業日は分析に注力することが出来ています。
またオンラインデータ収集モジュールの導入により、第5営業日以降の開示情報の収集に要する工数の大幅削減にもつながりました。

――以前は残業も多かったのでしょうか。

新田様 私はちょうどオンラインデータ収集モジュールを導入した2018年に入社しましたが、最初の頃は土曜出社が当たり前。それでもぎりぎり間に合わせられるかという工数でした。残業も、私が入社する前は増加傾向にあったという話を聞いていますが、今は平日の業務時間内で作業が完了しており、残業時間も大幅に削減されています。

中田様 当社は以前、東芝の子会社でした。2016年にキヤノンの子会社となりましたが、当然その変化の中では新しいルールを遵守しなければいけません。また、アメリカやヨーロッパには大きな現地法人もあり、それぞれの営業時間に合わせて会議をしなければいけないなど、さまざまな対応を必要とする中で工数も増え、本当に激務だったわけです。
そうした状況を改善するために、DivaSystem LCAの機能の活用や業務改善を続けてきたわけですが、特に大きな役割を果たしたのが オンラインデータ収集モジュール でした。

工数削減を実現した「ダッシュボード」の活用と「独自の工数管理表」

――進捗管理は、DivaSystem LCA上でどのように行っていますか?

脇本様 各社の入力情報がひと目でわかるダッシュボードで、入力が終わっているのか、まだ入力中なのか、入力中ならあとどれぐらいで終わるのかを随時チェックしています。
決算時には、第3営業日の夕方から第4営業日の朝にかけて各社から情報が届き、現状では第4営業日までに全社分の仕訳作成が完了します。オランダ、アメリカ、中国と3つ巨大現法があり、時差の関係もありますが、第4営業日中にほぼすべての連結調整等を入れて、第5営業日には確実に締める流れが出来上がっています。

――特に役に立った機能はありますか?

新田様 工数を削減し日数を短縮するためには、まず子会社の工数を減らしてあげないといけません。しかし、彼らにとって入力というのはかなり面倒な作業です。そこをどう減らすかを考える中で、あるメンバーが、インポーターを使わなくてもコピペでデータを入れられることに気づいたんです。それならばと、今までExcelでもらっていたファイルを元にコピペできるフォーマットを用意して、子会社の工数を大きく削減することができました。同時に行ズレなどの単純ミスが撲滅でき、私たちも単純ミスの修正に工数を使うことがなくなりました。

また、数値のモニタリングという観点では、時系列で報告数値を見て変動に異常がないかをチェックする際、これまでは各担当の感覚による判断に頼っていました。しかし、 DivaSystem LCAのオプションツールを利用した数式を組むことで(例えば30%以上、1億円以上増減など)、フラグを立てるというような定量的なチェックが出来るようになりました。チェックの効率も上がり品質も一定レベルにできたのは大きかったと思います。

――業務自体の改善活動において何か工夫された点はありますか?

中田様 決算月にトラブルが起きないよう早い段階から周到にスケジュールを立てたり、省略しても良い仕訳を整理したりといったことに取り組みました。また、そのための工数管理をかなり細かくやったことが、早期化につながったのだと思います。

脇本様 私たちのグループには、メンバー6人それぞれが決算中にやるべき業務をすべて網羅し書き出したリストがあります。およそ450行にも及ぶリストです。例えば、メール一つにおいても、「誰が」「どのタイミングで」「どこに」メールを送るかなど、細かいところまで記載されています。それをもとに、それぞれの業務をいつやるべきなのか、各メンバーがそれぞれに見込みを立てて実行しています。
また、リストには、一つずつ標準工数が振られています。この業務には1時間、この業務には30分という形で工数が振られており、実際にかかった工数とのギャップがあれば、なぜギャップが生まれたのか、どうすればそのギャップが埋まるのかを、PDCAを回して改善していきます。この改善作業は、毎四半期ごとに必ず行っており、こうした取り組みが、工数の削減に大きく貢献したのだと考えています。

何があっても独り立ちできる「強い経理」でありたい

――連結決算業務において、また連結経理担当グループとして今後チャレンジしたいことを教えてください。

松本様 私たちは、経理組織として上場企業と同等のスキルを身につけ、高いクォリティを保ちたいと考えています。東芝のグループ会社だった時代は、業務のリーダーとなるグループ長は東芝からの出向だったため、重要な判断やマネジメントができるような人材を自社内で育てる環境の醸成に苦心していました。そのため、キヤノンのグループ会社となる中で非常に苦労した経験から、たとえ大手企業のグループ会社であっても自社内に上場企業と同等のスキルを有し、求められる経理業務を自社内で完結できるレベルを目指そうと考えているのです。
その実現のためにも、DivaSystem LCAの機能をしっかり活用することで業務を効率化し、新しい会社への対応をしていきたい。そのため、DivaSystem LCAの機能向上には今後も大いに期待しています。

中田様 今後少子高齢化が進む中、私たちが関わる医療機器やヘルスケアの業界はますます不可欠な業種となるはずです。実際、当社は順調に成長を続けています。その成長や企業としての存在価値を財務面、経理面でしっかり支えること。これが我々の使命だと思っていますし、だからこそ、何があっても独り立ちできる経理部でありたいのです。「強い経理」として情報のアンテナを高く持ち、新しい課題にも積極的に取り組み、自走し解決していく、そんなチームでありたいと思っています。

担当コンサルタントからのコメント

キヤノンメディカルシステムズ様には、2016年よりDivaSystem LCAを導入いただき、既に7年という長期にわたりご利用をいただいております。
現在は連結決算業務における実績数値作成でご活用を頂いておりますが、今後は実績だけではなく、ご活用領域を更に拡張してご利用いただけるようご支援させて頂ければと思います。

※取材年月 2023年5月
※文中に記載されている数値など情報は、いずれも取材時点のものです。
※新型コロナウイルス感染防止対策を行ったうえでインタビューをしております。

会社名:キヤノンメディカルシステムズ株式会社 (CANON MEDICAL SYSTEMS CORPORATION)
設立:1948年 (昭和23年9月)
本社所在地:〒324-0036  栃木県大田原市下石上1385番地
事業内容:医療用機器(X線診断システム、CTシステム、MRIシステム、超音波診断システム、放射線治療装置、核医学診断システム、検体検査システム、ヘルスケアITソリューション など)の開発、製造、販売、技術サービス
単独:5,794人 連結:11,052名(2021年12月末/グループ連結)
グループ会社数:52社(2022年12月末時点)
資本金:207億円
売上高:4,804億円(2021年12月期)
URL:https://jp.medical.canon/
※2023年5月 取材当時の情報です


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